会社概要
創業者の想い
開業の夢 そして 事業開設 岸本電機工業所
私は、昭和36年7月に東京都北区赤羽神谷町に店舗を構え、仕事を始めました。
ところが、ある方の紹介による初仕事がスタートからキャンセルになり、またゼロからの仕事探しの毎日。弁当を持って自転車で赤羽、王子、田端、荒川地区に発電機、モーター、その他電気関係の仕事であればと営業に回りまし
たが仕事に繋がる話はなかなかありませんでした。
1日足を棒にして家に帰ると、新妻がベビー箪笥の前で手にハンカチを持って涙している姿を見、男として非常にやるせない気持ちでありました。
そうこうしているうちに一週間ほど過ぎた頃、田端のI口電機さんより依頼の電話がありました。修理品があるので取りに来て欲しいと、三相のモーター修理品が1台でした。材料費込みで3000円、これが初仕事、2日間での売り上げでした。
これでは商売にはならないと思っていたところ、銅の平線を縦に巻く仕事があると話がありました。ところが縦に巻くことは経験がなく、仕事は欲しいので色々と工夫し一週間程で巻ける準備を整え、コイルを巻いて見本品を発注主の某エレベータ会社に提出しました。更に一週間後に返事が来ました。が、不合格。
その後も見本品を何度も何度も提出して、やっとOKの返事があり、仕事が毎日続くようになりました。月20万円位の収入になり、5年ほど継続しました。その後は一人での仕事で日々利益が出るようになり、妻子に安堵感が見えるようになりました。
時代も日本も高度経済といわれている頃で、オリンピックまでは右肩上がりに発展していた頃です。我々も毎年利益が多くなり近いうちに我が家と土地が手に届くところまで見えてきました。
人間は時代と共に成長・発展して行かねばならない、そのためには経験と判断力を身につけて行動することです。
人の信頼(お客様から見た場合)
人は信頼・信用で繋がれていると前編でお話いたしましたが、新しい仕事を頼まれる場合、岸本電機工業所では会社経歴や技術的にどうか、人柄はどうかと慎重に調査されたそうです。昔の方は仕事と技術に対するこだわりは非常に強いと聞いています。
岸本電機は、北区赤羽にある、昭和電機の出身と聞き安心して仕事を請けることが出来たこと、信頼を得たことが非常に良かったと思います。
その後下請けとして、漁船・造船・電車用モーターと多種多様の仕事が多くなりました。
新工場の設立:昭和三十九年に足立区皿沼三丁目に70坪の土地に10坪の平屋と隣に平屋の作業場を建て社員八名で新しく有名なメーカーの仕事を開始し、五年間で三千六百万の利益が出来、新たに土地を購入し倉庫を建てて順調に軌道に乗りました。
二年程経過した頃、現在の仕事は二年先には滋賀の新工場へ行ってしまい、なくなりますので今後岸本電機さんはどうするのかと決断をせまられました。
当時18歳と若い社員の方が私に何か製造しようと提案し、私もわかった何か作ろうと決定しました。1年間時間があったので対応するために色々と準備することにしました。
メーカーとして物作り・販売
メーカーとして物作りする為には株式会社にする必要がある、社名もわかりやすい方が良いとのアドバイスを受け、私の名前岸本を頭に入れキシデン工業株式会社に決定し新会社としてスタートしました。
第一号ケーデーアーク小型溶接機を製造したが素人の考えで商品を作れば売れると信じていました。販売に対してはまったく分からず一から学びました。
商品を売ることはメーカーの信用を売ると共に商品を知ってもらうこと、ユーザーからPRしてもらうことが大切だと教えられました。その時期は毎日販売店とユーザー廻りでした。展示会・PRにおいて社名を売ることは良い商品を作り販売することが非常に大切だと実感しました。また商品製造においては他社の良いものを真似るのがよいですが、どこが良い会社か見極めることが大切でそれを販売する者は充分な商品知識が必要だと分かりました。
- 機械絶対主義はやめましょう
- 他社商品の悪口はやめましょう
- 商品は自信を持って販売しましょう
- 商品・技術の知識を高めましょう
商社との出会い・取引
私、岸本は物作りとは良いものを真似る事だと考えます。そのようにして様々な問題を抱えながらもやって来られたので今日のキシデン工業があると思います。
当時全国7店舗を持つ商社N.S機械金属鰍フ川田さんとの出会いが私の商売に対する考えがいかに無知であったかを教えてくれました。
当時、関西地区では二次卸商が多いことがわかり、無名のメーカーが商品を全国展開するのは非常に無理があると認識しました。商社N.Sを通すなら買わないが直販なら扱っても良いといわれたこともありました。
しかし自社の力だけで全国展開は難しく、それ以来商社N.S様への販売を一本化しました。そのとき川田さんが私の人間性を評価してくれたと耳にして大変感謝し、今日まで長い間ご縁が続いていると思います。
これからも良い時・悪い時があるとは思いますが永く続けることが大切だと実感しています。